妊娠出産について①8年前の記事です。

※8年前のブログの記事からです。

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お母さんと音楽家を両立されている方はたくさんいらっしゃいますし、最近は増えてきましたが、当時はサックスで妊娠出産を経験した方が私の身近にいらっしゃらず、とても不安でした。


他の楽器の方がどうされているのか(特に管楽器の方)を参考にさせていただいたりはしていたのですが、「サックスの場合はどうなのか?」ということが知りたい時もあって。


実際未だによく女性のサックス吹きの方に聞かれる事も多い為、8年前のものになりますが、少し文を変えつつこちらにも残しておこうと思います。


妊娠、出産は人それぞれではありますが、一人の例として少しでも参考になればと思い、書かせてもらおうと思います。


長いですし、とても個人的な事なので、ご興味の無い方はどうぞ読み飛ばしていたただけたらと思います。


⚫︎妊娠2ヶ月から4ヶ月
7月に妊娠が発覚。
まだ心臓が動いているかもわからない、胎嚢という状態。
この時期から少しずつ、つわりの症状が出始める。
食べるだけでなく、何か物をくわえるだけで、吐く人もいるそうなので、一度も吐いたりしなかった私は、きっと軽い方だったと思うのですが、それなりに辛い日々でした。
夕方以降と、よく車や電車に乗ると気持ち悪くなっていました。
酔い止めが飲めないので、「シーバンド」という、船乗りの人もつかっているという手首にするバンドを愛用していました。
これにはホントに助けられました。
おすすめです!

元気なのですが、普段食欲旺盛すぎる私でもあまり食べられなくなり、
小松菜りんごパイナップル牛乳をミキサーにかけたものばっかり飲んでいました。
(体重が増えていたのでちょうどよかったのかも)
駄目だったのは、ニンニク、玉ねぎ、そば、卵焼き。

お仕事はこの時期結構いそがしくて、まず7月の終わりの演奏のお仕事で福岡に行くことが決まっているのに、飛行機に乗っていいのか心配に。

病院の先生によるのかもしれないけれど、乗らないことにこしたことはないけど、とりあえず良いといわれたので予定通り福岡へ。
吐き気があるのを除けばいつも通り元気に楽器を吹いて、無事にコンサートを終え帰京しました。

不思議と楽器を吹いている間や、お仕事の間は気持ち悪さを感じないのです。

そして、気持ち悪くて食べれないだろうと思っていた こってりとんこつラーメンが完食できてしまう不思議。

体力気力には自信があったし、妊娠しながらもバリバリお仕事をされている方はたくさんいらっしゃるし、、、と特に生活を変えることもなく過ごしていたら、、、

8月のはじめ、いつも演奏しているレストランの演奏のお仕事があったのですが、家を出る前に出血が。
出血以外に何も症状は無かったので、そのまま現場に向かおうとしたのですが、やはり少し気になったので、病院に電話してみることに。

すると先生が
「今すぐ来てください。病院までどれくらいでこれる?」
と聞かれ
「電車と歩きでむかうので30分くらいです。そしてこのあと仕事があるのですが、、、」
と答えたら、
「あなた 何考えてるの!!タクシーで来なさい!仕事なんてダメに決まっているでしょ」とお叱りをうけました。

ようやくここで、これは一大事なんだと思い涙が溢れてきました。

事情をお話し、お仕事を急遽キャンセルさせていただき病院へ向かいました。

診察を受け、結局大丈夫だったのですが、切迫流産の恐れがあるとの事で注射と薬を処方されて、3日間は絶対安静に過ごすようにと言われました。

その時に入っていた教えのお仕事をキャンセル。
そして、妊娠中の楽器演奏も先生は賛成は出来ないとの事でした。

お腹が痛いとか、自覚症状が全くなくて、流産をしそうになっている、というのが本当に怖くて怖くて、急に先行きが不安になりました。
重いものを持つことも、楽器を吹いてお腹に力がかかる事も私にとっては日常だけど、一般的には妊娠中にはダメと言われていること。どうしたら良いのだろう。
仕事も8ヶ月に入るまではいくつか決まっていたし、お引き受けしたからには穴を開けるわけにはいかない、でも今回のように急に体調が悪くなったらもっと迷惑をかけてしまう。
そして何よりお腹の赤ちゃんが辛いのではないか、、、どうしたら良いのか安静にしながらとても悩みました。


助産師さんの友達や、出産経験のある大学の先輩、里帰り出産の病院にも聞いてみたりすると、 楽器を演奏するのは全然大丈夫、むしろ腹式呼吸だから良いと思うという先生と、反対の先生がいるということがわかりました。
妊娠する前からずっと生活の一部としてやっていたのなら大丈夫という先生も。


3日間休んだ後、また病院へ行く事になっていたのでその時の様子によって、これからどうするかを決めようと思い病院へ。


診察で、心拍がはじめて確認ができ、もう心配はないと言われ一安心。
母子手帳もをもらってくるようにと言ってもらえました。


無理をしないようにとは言われても、お仕事中(特に演奏のお仕事)は、つい頑張りすぎてしまう。
そして妊娠出産で仕事がなくなってしまうのではないか、という不安から余計頑張ろうとしてしまっていたようにも思います。

いろいろな意見を聞いたり、相談をして、妊娠中は「普段の生活を8割くらいの力で過ごす」という感じでやってみようと自分の中で決めました。

そして安定期に入るまでは、ご迷惑をかけてしまうこと事を承知で事情を話し(本当は安定期に入るまではお伝えするべきじゃないのかもしれませんが)
合宿のお仕事、朝早くから夜までの複数のお仕事など、元気な時でもハードだなと思われるお仕事は可能なかぎり変更をさせていただいたり、思いきってキャンセルをさせていただきました。

お引き受けしておきながら、キャンセルや変更をしていただくのは本当に心苦しかったですし、ものすごく葛藤をしました。


あとは小さな事ですが、移動中の荷物は、普段よりちょっとずつ軽くする。(楽器のケースを軽いものにする、カバンの中身も減らす)
楽器のセッティングも、練習中は出来るだけ楽に吹けるように少し軽くしました。
(リードはレジェールをよく使っていました)

そして鴎外荘の女将さんに教えてえていただいた、子宮が良い位置に戻るという体制、
帰ってきたら仰向けで寝転がり、膝を立てて10分休む。という事は必ずしていました。

そして、なんとか8月、9月のお仕事を乗り切り無事安定期を迎えることができました。
ちなみにこの時期のお仕事は、サックスバンド、オーケストラと吹奏楽団のエキストラ、桜での1時間位のコンサート、トリオでのフルコンサート、レストランでのソロで30分コンサート、そしてコンクールシーズンということもあり、中高生のレッスン、受験生の個人レッスンといった感じでした。

この時期に辛いと思ったことは、演奏することよりもガタガタ揺れる移動、例えば車での山道の移動、良く揺れる電車(8月のひたちなかに行った時のスーパーひたちは辛かった。。。笑)
気持ちが悪くなることもあるし、なんだかお腹にも良くない感覚がありました。
演奏はフルコンサートこそ少しきつかったものの、(そもそもフルコンサートは普通の時でもきついと思う)他はいつも通り、変わらず、、、といった感じでした。


ちょっぴり辛い時期ではありましたが、途中の検診で、赤ちゃんが元気そうに手足を動かすのが見れたのがとても嬉しく、励みになりました。
そして楽器を吹けることに今まで以上に幸せを感じていました。

続く。

田中麻樹子 Website

サクソフォン奏者 田中麻樹子のwebsiteです。

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